『ヤフオク輸出』の可能性について考えてみましょう。前回、ソフトバンクがインドでEC事業を展開する準備を進めているというニュースをご紹介しました。
ソフトバンクがインドで展開するEC事業
ソフトバンクの事業内容は大きく2つに分けられると思います。一つはネット回線やモバイルなどの通信事業、もう一つはヤフオクなどに代表されるEC事業です。
ソフトバンクは、2013年にアメリカの携帯電話業界3位のスプリントを200億ドルを超える金額で買収したり、2016年にイギリスの「ARM」を3.3兆円で買収したりしています。これらはソフトバンクの通信事業の一つです。
ところが今回のインドのECサイトの買収計画は、ソフトバンクのEC事業ということになります。ソフトバンクが海外でEC事業を展開するというのはあまり聞きません。しかもインドは、ソフトバンクと創業当時から仲の良いアリババが、数千億円規模の投資をして覇権争いを繰り広げている最重要国です。そこまでしてソフトバンクがインドのEC事業に乗り出そうとしているのは、よほどインドの将来性に賭けているからだと思います。
日本国内でソフトバンクのEC事業といえば、Yahoo! Japanやヤフーショッピング、そしてヤフオクなどがあります。この中で、せどり・転売、輸出入のビジネス実践者にとって最も身近な存在は「ヤフオク」です。ですから、ソフトバンクがインドでEC事業を展開するというニュースを聞けば、「ヤフオクのインド版が誕生か!」と期待が高まるわけです。「ヤフオク インド版」ができれば、日本から「ヤフオク輸出」という新しいビジネスの可能性が広がることになります。
「ヤフオク輸出」の可能性とは?
ではその「ヤフオク輸出」の可能性は実際どうなのでしょうか?
「ヤフオク輸出」は、現状ではかなり厳しいと言わざるを得ないでしょう。世界にはヤフオクに代わる有力なオークションサイトや個人間取引サービスがいくつかあるからです。
例えば、Amazonがインドのバンガロールで始めた個人間取引サービスや、Facebookマーケットプレイスなどです。さらに中国アリババも本格的に参入してきています。これらの強敵と対等に戦うには、現状のヤフオクでは使いにくすぎます。
ヤフオクの最大の欠点は、出品のしにくさや落札後の連絡の煩わしさなどにあります。もし日本のヤフオクの欠点を引きずったままインド版ができたとしても、インドの人たちが利用してくれるとは思えません。
ソフトバンクもそのことは分かっていて、だからインドで既に成功している2つのECサイトを買収することにしたのでしょう。しかしそうであれば、今回の買収劇はインドの平凡なECサイトの運営者がソフトバンクに代わっただけのこととなり、日本からの輸出ビジネスとしてはあまり魅力がありません。
インドのEC業界はまだ黎明期で、Amazon、Facebook、アリババの各社が数千億円規模の投資をして覇権争いを繰り広げています。そこにソフトバンクが加わったということです。しかし、よほど特徴のあるサイトにしないと「その他大勢のECサイト」として埋もれてしまうでしょう。
残念ながら、現状では「『ヤフオク輸出』で月100万!」の可能性はかなり低いと思います。
いま世界のEC業界は「インドブーム」。そして数年後は「東南アジアブーム」になる
ところで最近のEC業界は「インド」の話題が多くなってきています。今後数年はこの「インドブーム」が続くと思います。そしてそれが一段落したあとに世界中の視線が「東南アジア」に移っていくことになるでしょう。成功するコツは、ブームになる前に動くことです。
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