Amazon中国を苦しめる「インターネット安全法」とは?

Amazon中国を苦しめる「インターネット安全法」とは?

Amazonのクラウドサーバー事業が中国で大苦戦!

Amazon輸出 初心者アイコちゃんシリーズ

AWSは中国から撤退しない――「法規によりインフラ資産の一部売却を余儀なくされた」と発表 | TechCrunch Japan
[blogcard url=”http://jp.techcrunch.com/2017/11/15/2017-11-13-aws-exits-china/”]
Amazon Sells Hardware to Cloud Partner in China
Amazon Web Services says rule change by Chinese government prompted the sale of its computing equipment
[blogcard url=”https://www.wsj.com/articles/amazon-to-sell-its-china-cloud-computing-business-1510628802″]

先生、前回の「中国共産党に乗っ取られたオーストラリア」にも関連すると思いますが、Amazonの中国国内での事業はどんな感じなんですか?

Amazon中国は、まったくシェアを伸ばせないで大苦戦しているよね。上のニュースを見て欲しいんだけど、これは、Amazonの中国でのクラウドサーバ事業(AWS)のほとんどを手放したっていう内容なんだ。

AWSが、中国国内でうまく行っていないということですか?

事態はもっと複雑なんだ。まず、AWSというのは、いまではAmazonの収益の大黒柱なんだ。あまり知られていないけど、AmazonはECサイトよりクラウドサーバー事業で巨額の収益を得ているんだよ。

へぇー!そうなんですね。意外なところでAmazonは稼いでいるんですね。

うん。この「クラウドサーバー」事業は、Google、マイクロソフト、アップルなどの世界的なIT企業もやっているんだけど、Amazonのひとり勝ちなんだよね。「クラウドサーバーを制するものはIT業界を制する」とまで言われている重要な事業なんだ。AWSで大成功したから、いまや時価総額が計算できないほど企業価値が高まっているんだよ。

AWSのおかげで、Amazonは時価総額が計算できないほどすごい企業になっている、ということですね。

そのとおり。そしてこのニュースなんだけど、「Amazonは中国でのクラウドサーバー事業のほとんどを手放した」という内容なんだよ。

え!? それはちょっとおかしくないですか? だって、Amazonにとって重要なクラウドサーバー事業を、Amazonがわざわざ手放す必要はないですよね?

うん。これは中国国内での話だから、Amazonが自ら手放したんじゃなくて、中国共産党がAmazonに制裁を加えた、という見方が正しいと思うよ。

なるほど!

中国は2017年6月1日に、「インターネット安全法」という新しい法律を施行したんだ。名前は「インターネット安全法」となっているけど、これは中国国内の監視体制を強化した危険な法律だよ。「インターネット安全法」ができたことで、百度(バイドゥ:中国版ののGoogle)や微博(ウェイボー:中国版のTwitter)などの監視体制がさらに強化されたんだ。

うわー( ̄。 ̄;) 中国の人たちが、検索エンジンで何を検索しているかとか、SNSで何をつぶやいているかが、中国国内でさらに監視されるようになった、ということですね。

そう。さらに「インターネット安全法」が怖いのは、中国国内で活動している外国人は、その情報を中国国内にすべて保存しなければならないと法律で決まったことだよ。

えーと、それは具体的にどういうことですか?

たとえばアイコちゃんが日本から中国の「アリババ」で商品を購入し、日本に輸入したとするでしょ。その記録のすべてを、中国国内のしかるべき場所に保管しなければならない、ということだよ。他にも、日本から義烏市場に仕入れに行ったときの記録や、中国の工場で商品を安く大量に作った記録、中国の事務所との交渉記録のすべてを、中国国内の決まったところに保存しなければならない、というわけ。そうしないと法律違反になるんだ。

うわー(*_*) すさまじいほどの個人監視社会ですね。

そう。個人監視が中国人だけじゃなくて、外国人も対象になったのが「インターネット安全法」というわけ。

なるほどー、だんだん分かってきました。そうすると、Amazonのクラウドサーバー事業は、「インターネット安全法」によってその情報がすべて監視と保存の対象になったわけですね?

これは推測だけど、どうもそうらしいね。クラウドサーバーは、顧客にコンピューターを貸して使ってもらう事業だからね。NASAや大手の映画会社など、世界中の有名企業がAWSを利用しているよ。NASAの火星探査プロジェクトは、AmazonのAWSを利用して進められているんだ。でも中国で「インターネット安全法」ができたことで、AWSを利用している会社の機密情報も、中国共産党にすべて盗まれる危険性が出てきたはずだよ。だから冒頭のニュースのように、やむを得ずAmazonは中国でのクラウドサーバー事業のほとんどを手放したんじゃないかな。

これはかなり深刻な問題ですね。そしてそういった中国共産党の影響が、オーストラリアにも伸びてきていると言うことですね。ありがとうございました!

コメントする

コメント

※メールアドレスは公開されません。

CAPTCHA


この記事へのコメントはありません。