Amazon輸出ツールで「完全ほったらかしで稼ぐ」は可能か?

Amazon輸出ツールで「完全ほったらかしで稼ぐ」は可能か?

「私たちのAmazon輸出ツールを使えば、完全にほったらかしで稼ぐことができます!」という広告を、ネット上でよく見かけますw

本当に、Amazon輸出ツールを使えば、完全にほったらかしで稼ぐことは可能なのでしょうか。最初に結論を申し上げれば、「全体の約80%は可能で、20%は手作業が必要」ということになるでしょう。

Amazon輸出ツールは、「手作業を自動化するためのプログラム」です。手作業でやらなければならないことを、代わりにプログラムがやってくれます。ですから、「手作業の部分を全てプログラムで代行できるかどうか」が分かれば、完全にほったらかしで稼げるかどうかが判断できることになります。

Amazon輸出で稼ぐ基本的なパターンから考えてみましょう

まず、Amazon輸出で稼ぐ基本的なパターンで考えてみましょう。

Amazon輸出の基本的なパターンは、「Amazon日本とAmazon米国で、同じ商品の価格差を調べ、ある程度利益が出る商品を見つけたら、Amazon日本で仕入れてAmazon米国に出品する」という流れです。

Amazonには「ASIN」という商品を識別するオリジナルのコードがあります。このコードを元にAmazon日本とAmazon米国の商品の価格差を調べることができます。そしてある程度利益の取れそうな商品を見つけ、一覧表示することも簡単にできます。

さらにその「儲かる商品の一覧」をAmazon米国に出品することも自動化できます。つまりここまでは全てツールで完全に自動化することができるわけです。

また、その儲かる商品について、ライバルセラーが価格を下げてきたときは、ツールを使って自分の価格を調整することもできます。その商品から利益が取れなくなるほど価格下がり、儲からなくなってしまった場合は、その商品の出品を取り下げる必要があります。この取り下げる作業も、ツールで自動化することができます。

「完全にほったらかしで稼ぐことができる!」のか?

さて、ここまでで、Amazon輸出をまだ実践されたことのない初心者の方、あるいはそれほど経験のないセラーであれば、「Amazon輸出ツールでここまでできるのか! すばらしい」、「完全にほったらかしで稼ぐことができる!」と思うかもしれません。

しかし、ある程度Amazon輸出を実践されたことのあるセラーなら、ここまでの話がウソであることがおわかりいただけるでしょう。

確かに、「ASINコードを使ってAmazon日本とAmazon米国で価格差のある商品を見つける」、「Amazon米国に自動で出品する」、「ライバルの価格を確認しながら価格調整をする」、「売れても利益が出ない商品を取り下げる」、「仕入れられない商品を取り下げる」ことなどは、ツールで自動化することができます。

ところが、肝心の「ASINコードを使ってAmazon日本とAmazon米国で価格差のある商品を見つける」ことが、ツールでは完全にできません。なぜなら、「ASIN」コードに間違いがある場合があるからです。

ASINコードは、全世界のAmazonで共通の商品コードということになっています。ですから、たとえば「12345」というASINコードがあれば、それは全世界のAmazonで、全く同じ商品を表していなければなりません。

しかし、実際にはAmazonのシステム上の問題か、同じASINコードなのに違う商品であったり、違う商品なのに同じASINコードが付いていたりするのです。要するに、「ASINコード」は完璧に同じ商品を表しているわけではありません。

ですから「ASINコードを使ってAmazon日本とAmazon米国で価格差のある商品を見つける」ことは、完全には機能しません。Amazonサイト内のASINコードの間違いはごく一部ですから、一般的には影響はありませんが、「Amazon輸出ツールを使って完全にほったらかしで稼ぐことができる」という期待は、ここで黄色信号が点灯してしまいます。

ちなみにAmazon輸出実践者がこのASINコードの間違いをどのように修正するかといえば、やはり目視で確認し、手作業で修正しているわけです。

「Amazon輸出のツールに備わっているブラックリスト機能を使って、間違ったASINコードをツール側で修正したり、出品しないようにすればいい」という考えもあります。しかし、そもそもどのASINコードが間違っているのか、Amazonは公表していません。おそらくAmazon自体も、完全には把握できていないのでしょう。ブラックリストに載りきらない商品を出品してしまう可能性は、ゼロにはできないのです。

「売れても利益が出ない商品を自動で取り下げる」ツールは、トラブルが頻発する

さて、次の問題になるのは、「売れても利益が出ない商品を自動で取り下げる」という部分です。Amazon輸出ツールを利用すれば、Amazon日本とAmazon米国を比較して、その商品が売れれば利益になるのか、赤字になってしまうのかが分かります。そして、赤字になる商品を出品していた場合は、ツールの機能を利用して自動で取り下げることができます。さらに、その商品が再び利益が出るようになったら、自動で再出品することもできます。

ここでの問題は、「Amazon輸出ツールが取得したデータは、最新のものではない」ということです。「なにをバカなことを言っているんだ!」、「ツールが取得した情報が最新の情報でないはずないだろう」とあなたは思うかもしれません。しかし、これは本当のことなのですから、仕方がありませんw。

Amazon輸出ツールは、Amazonが提供しているAPI、MWSというサービスを利用して作られます。ところがこのAPIやMWSには、「タイムラグ」があるのです。

Amazonが1年間で販売する商品の数は、定かではありません。ただ、Amazonは「2015年のFBAの出荷数は10億個以上」と公表しています。10億個とは10億段ボールのことです。1つの段ボールに10個の商品が入っていたと仮定すると、2015年の1年間で、FBAだけで100億個の商品が売れたことになります。

AmazonはFBAだけで商品を販売しているわけではありませんから、Amazonが年間で販売する商品数を推測するには、FBA以外の販売数も上乗せする必要があります。さらに、映画やアプリ、パソコンソフト、電子書籍Kindleの「ダウンロード数」も追加するとすれば、1年間で販売される数は、1000億個以上になるのではないでしょうか。

1年間は31556926.08 秒です。Amazonが1年間に販売する商品数を1000億個と仮定すると、1秒間に売れる商品は約3,168個です。1時間では190,133個にもなります。そして、1つの商品が売れるたびに、最低価格やセールスランキング、在庫数、出品者数などの各種データも変わっていきます。

つまり、Amazonから提供されるAPIやMWSの情報は、これだけ激しく動くデータの「できるだけ最新の情報」を提供しているのであって、「絶対に正しい情報」を提供しているわけではありません。

ですから、このタイムラグがあるために、「売れても利益が出ない商品を自動で取り下げる」、「再び利益が出るようになったら、自動で出品する」ことをAmazon輸出ツール上で完全に行うのは、不可能なのです。

Amazon輸出の実践経験が長いセラーほど、「自動出品、自動出品取り下げ、自動再出品」ツールは利用しない

「そんなことをいったって、世の中のAmazon輸出ツールには、利益の出る商品を自動で出品したり、自動で取り下げたり、自動で再出品する機能があるじゃないか?」と疑問に思われる方もいるでしょう。

おっしゃるとおり、世の中には、そのような機能のツールがたくさんあります。
ところが、私が独自に調べたところによると、Amazon輸出の実践経験が長いセラーほど、このような「自動出品、自動出品取り下げ、自動再出品」ツールを利用していないことが分かっています。

その理由は、取り下げなくてもいい商品を取り下げてしまったり、あるいは取り下げなければならない商品がそのまま出品されてしまうなど、この自動機能はトラブルが頻発するからです。

ですから、Amazon輸出の実践経験が長いセラーほど、この機能は使いません。むしろ、危険な機能と見なされ、敬遠されているのです。しかしAmazon輸出の初心者だったり、経験が浅いセラーの場合は、この機能を「便利だ」と勘違いして積極的に使ってしまい、あとでトラブルに巻き込まれることがよくあります。

では、どうすればトラブルを避けることができるかと言えば、やはり目視や手作業で出品を取り消したり、再出品するしかないわけです。

なお、バイキング・シリーズでは、あえてこの「自動出品、自動出品取り下げ、自動再出品」機能を取り外し、より安全な別の方法で実現できる機能を採用しています。

まとめ

今回は、Amazon輸出で稼ぐ基本的なパターンとして、「Amazon日本とAmazon米国で、同じ商品の価格差を調べ、ある程度利益が出る商品を見つけたら、Amazon日本で仕入れてAmazon米国に出品する」ケースを使い、「Amazon輸出ツールを使えば、完全にほったらかしで稼ぐことができるのか」を検証してみました。

冒頭でご説明したとおり、ツールを使うことによって、本来の手作業の80%程度は自動化することができます。しかしどうしても20%くらいの目視や手作業の部分は残ります。その理由はいまご説明したとおりです。

どんなビジネスも、「完全にほったらかしで稼ぐ」のは無理!?

ところで、いまのあなたの気持ちを想像すれば、「Amazon輸出はめんどくさい!」、「完全にほったらかしで稼げると思っていたのに、がっかりだ!」という感じでしょうw

確かにAmazon輸出というビジネスは、ほとんどの部分をツールで自動化することができますが、どうしても目視や手作業の部分が残ります。ですから、あなたが「完全にほったらかしでは稼げないんだ」とか、「Amazon輸出より、Amazon輸入とか国内せどり、ヤフオク!転売、中国輸入、eBay輸出の方が簡単に稼げそうだ」と考えるのも無理はありません。

ただ、ここで勘違いしてほしくないのは、「完全にほったらかしで稼ぐことが不可能なのは、Amazon輸出だけではなく、Amazon輸入、国内せどり、ヤフオク!転売、中国輸入、eBay輸出も全く同じこと」だということです。

「Amazon輸出で完全にほったらかしで稼げないなら、他のビジネスを始めた方がいい」ということにはならないのです。ほったらかしで稼ぐことができるビジネスは、どこにもありません。

「FX、株式取引、不動産ビジネスなら、ほったらかしで稼げるだろう」と思うかもしれませんが、実際にはできません。

例えばFXであれば、最近のスイス・フランの大混乱で、日本でも数千万円損をするトレーダーが続出しました。今年の6月に国民投票が行われる英国がEUを離脱すれば、世界中のFXトレーダーは再び大混乱になるでしょう。

株取引も、海外トレーダーや機関投資家に翻弄され続けています。株取引に重要な情報は、機関投資家やヘッジファンド、有名トレーダーだけに提供され、一般的なトレーダーには公開されないことは、誰でも知っています。

絶対安泰だと思われていた不動産ビジネスも、将来の国内の空き家率が40%を超えると予想されていたり、Airbnbなどの新興ビジネスの急拡大で右往左往しています。

Amazon輸出だけではなく、Amazon輸入、国内せどり、ヤフオク!転売、中国輸入、eBay輸出、FX、株式取引、不動産ビジネスでも、「完全にほったらかし」で稼ぎ続けることはできないわけですね。一時的にはできるかもしれませんが、それがずっと続くことはありません。

それでも、最新ツールを使って、手作業の部分として残ってしまった20%を10%にすることができれば、Amazon輸出のビジネスを有利に展開することができます。私たちもそれを目指してバイキング・シリーズの開発を続けていますし、かなりの部分で成果を出すことに成功しています。

さらには、ツールでできない、ライバルが知らない、あるいは知っていても手が出しにくいAmazon欧州、プライベートラベル、ドロップシッピング、独自の仕入れ場所の開拓など、Amazon輸出の最新戦略を知っているかどうかが、最終的な差になるわけです。

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