■米Amazonが謎の「革新的通信技術」の試験を申請
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米Amazonが謎の「革新的通信技術」の試験を許可して欲しいと、米連邦通信委員会(Federal Communications Commission、FCC)に申請していることが話題になっています。これは、ドローン配送に関連した新テクノロジーと推測されています。
ドローン技術は、次世代のEC業界の覇権を握る重要なテクノロジーの一つであることは先日ご説明しましたが、そのための「謎の革新的通信技術」をAmazonが開発し、その試験ができるようにFCCに申請している、というニュースです。
Amazonの「謎の革新的通信技術」はドローン配送だけのものではない
日本のテレビが、アナログ放送からデジタル放送に切り替わるタイミングで、いらなくなったアナログ放送の電波網をインターネット回線に利用しようというアイデアが検討されたことがあります。
戦後から数十年かけて、アナログ放送を受信するための設備やアンテナが、日本列島の北から南まで張り巡らされてきました。このおかげで、離島などのごく一部の地域を除けば、日本のどこにいてもテレビを見ることができます。この環境は、数十年かけて少しずつ構築されてきたものです。
そこで利用されてきた「アナログ放送用の電波環境」が、デジタル放送移行後に余るので、それをインターネット回線として利用しようというアイデアです。技術的には何の問題もなく、しかもADSLや光ファイバーよりもはるかに高速でインターネットに接続できるそうです。気の遠くなるような時間をかけて日本列島の全域に張り巡らされたアナログテレビ電波網ですから、これが実現すれば、一瞬にして日本全国が「超高速インターネット回線」を利用できるようになるわけです。新しく設備投資する必要がないので、ほとんど無料で利用できます。
このアイデアは未だに実現していないのですが、おそらくNTTやソフトバンクなどの既存のネット回線業者が猛反対したのでしょう。確かに一瞬にしてほとんど無料の超高速のネット回線が日本列島全域に普及すれば、ソフトバンクの出る幕はなくなってしまいます。
今回の米Amazonが構想している「革新的通信技術」は謎の部分が多いようですが、「ドローン配送」に利用されるという推察が大半です。しかしいま挙げた「アナログ放送の超高速インターネット回線への変換」の例のように、今回のAmazonの「革新的通信技術」が、ドローン配送だけに利用される分けではないでしょう。
ちなみにFacebook社は、地球の周りをぐるぐる回る「通信衛星」を利用した超高速インターネット回線や、空中に飛行船を浮かべてそれを通信基地にする構想などを打ち出し、実際に専用の通信衛星を飛ばしたりしています。
古い技術を破壊し新テクノロジーの覇権を握り始めたAmazon
どちらにしても、次世代のEC業界の覇権を握る重要なテクノロジーである「ドローン技術」に必須の「革新的通信技術」がAmazonによって開発されれば、他のEC事業者は否応なくそれを利用せざるを得ません。
Amazonの「古びた技術を破壊し、次世代テクノロジーの基幹部分を一手に握る」戦略に、他のEC業者は戦々恐々としているはずです。
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