eBayが新しく始めたフルフィルメントサービスとAmazonのFBAを比較してその将来性を検討してみましょう。
価格を比較するのはあまり意味がない
まず一番気になる利用料金ですが、これは考えないことにしますw なぜなら、そもそも発送サービスは料金だけで判断することができないからです。さらにAmazonのFBAの手数料は非常に難解で、正しい費用を算出することができません。また、eBayが始めたフルフィルメントサービスはAmazonのFBAを意識しているはずですから、料金的にも同程度かそれより安く設定されるはずです。ですから、両者の料金を比較するのはあまり意味がないと考えています。
まずeBayのフルフィルメントとAmazonFBAの特徴を確認しよう
eBayの新しいフルフィルメントサービスは、eBayが直接運営してるわけではなく、eBayと提携した発送会社がサービスの代行をしています。
例えばアメリカであれば、eBayと提携した発送会社がアメリカに倉庫を用意してくれます。あなたは、日本からその倉庫に在庫を発送することになります。そしてeBayでその商品が販売されたら、現地の倉庫のスタッフがその商品を梱包し発送してくれるという流れです。
AmazonのFBAの場合は、Amazonそのものが倉庫を建設して保有し、Amazonが従業員を雇って商品を管理しています。あなたがFBAを利用する場合には、日本からダイレクトでAmazon FBAの倉庫に商品を発送し、現地のAmazonFBAの倉庫に保管されます。そして、Amazonで出品しているその商品が売れたら、FBAの倉庫スタッフが梱包して発送をしてくれます。
前回も少し触れましたが、両者の大きな違いといえば『対応の柔軟性』でしょう。例えばeBayのフルフィルメントサービスであれば、インポーターを代行してくれたり、商品の外箱が壊れていればきれいな箱と取り替えてくれたり、箱の中の状態をカメラに撮ってメールの添付で送ってくれる、などのサービスも提供されるはずです。このような作業はAmazonのFBAでは難しいため、eBayの新しいフルフィルメントサービスの有利な点となります。
さらに重要な点は、eBayの新しいフルフィルメントサービスはAmazon輸出にも利用できるということです。Amazon用の商品をeBayの新しいフルフィルメント倉庫に置かせてもらえれば、例えばあなたがeBayとAmazonに同じ商品を出品し、eBayで売れてもAmazonで売れても、現地のeBayのフルフィルメントセンターから商品を発送することができるようになります。
つまり、『eBayとAmazonの併売が簡単になる』、ということです。
もちろんAmazonのFBAでも同じ事はできるのですが、Amazonのロゴがついた段ボールで送られてしまったりして、「eBayで落札したのにAmazonの段ボールで送られてくるのはおかしい」というトラブルに発展することもあります。
総合的に見れば、AmazonFBAが圧倒している状況に変わりはない
両者を比較する場合には、倉庫の数や大きさ、発送システム化なども重要な点となります。
AmazonはFBAの倉庫内の写真を公開していますが、世界中のあらゆる場所にこの巨大な倉庫を数多く展開しています。eBayのフルフィルメントサービスが、AmazonFBAの巨大な倉庫と同程度のものを世界中で展開できるかは疑問です。また、倉庫内で作業をするスタッフやそのシステム化などについては、Amazonのほうに軍配が上がると思います。
AmazonFBAの利点は、数百億円で買収したロボット会社のテクノロジーによる倉庫の自動管理や、トラックの自動運転システム、ドローンによる配送、中国からダイレクトでアメリカのAmazonのFBAに配送する空輸や運輸、FedExやDHLをも脅かす世界的な物流、さらに宇宙への配送までを視野にいれた、大規模で他社を寄せ付けない「独自の物流システム」を構築していることです。
そしてこれらのAmazonの物流システムは、先行している企業を買収して技術を囲い込み他社には使わせないようにしたり、特許によって基幹技術が固められており、もはや他社の追随を許しません。
以上の点を考えれば、(1)これからしばらくはeBayの新しいフルフィルメントサービスの利便性がクローズアップされていくことになるでしょう。(2)しかしそこから先は、Amazonに大きく水をあけられることになると思います。
そもそもeBayに限らず、長年の歴史のある世界的な物流会社FedExやDHLすらかなわなくなってきているのですから、そこに倉庫のロボット化、ドローン技術の特許、宇宙開発などが加わって行けば、もう誰もAmazonの物流システムには勝てません。eBayだから勝てないというわけではなく、もはや誰もAmazonには勝てないわけです。
これは、私がAmazonをひいき目に見ているからとか、eBayをおとしめたいからではなく、客観的に判断すれば、誰でもそのような結論になるはずです。
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